衆議院選挙と同時に行われた「最高裁判所裁判官国民審査」
今回も、審査の対象になった9人の裁判官全員が信任されるという結果になりましたね。
この国民審査は、最高裁の裁判官に任命されてから初めての衆院選の時にその信任を問うものですが、
有権者に対して裁判官の履歴や、どの様な裁判に関り、どの様な判決を下した人なのかなど、全く告知されていません。
何の情報も無いまま、該当者の名前が羅列してある投票用紙を渡されるだけなので、
何も書かずに投票箱に入れる有権者が後を絶たないのは当然といえば当然の事ではないでしょうか?
かくいう私も、何度か、
「最高裁判所裁判官国民審査」に投票しましたが、
現在の様にインターネットが普及していない時代には、情報を取り入れる事が難しいので、
自ずから、無責任にXをつける事は出来ませんでした。
不信任にするには過半数以上の不信任票が必要であり、
まったく告知をしていないのに50%以上の投票者が不信任の投票をすることはありえません。
その証拠に、この制度が始まった1949年から今年で60年も経ちますが、不信任になった裁判官は1人もいません。
また、これまでの最高不信任率もわずか15%であり、実際に裁判官の職を罷免できる50%には遠く及ばないのです。
今回は、多くの市民団体が「竹内行夫にバッテンを!」という運動を展開して告知をしていたので、
改めて「最高裁判所裁判官国民審査」というものに感心を持つ事が出来ました。
インターネットで、情報も簡単に取り入れる事が出来るようになった事のおかげです。
司法試験を受けたこともない、無資格者でありながら最高裁の裁判官をつとめていて、
アメリカのイラク戦争を支持し自衛隊のイラク派遣を認めた竹内行夫裁判官が、
審査の対象になっていたため、多くの市民団体が
「竹内行夫にバッテンを!」
という運動を展開して告知をしていたようですが、
それでも50%以上という事実上不可能な不支持率に阻まれ、罷免に追い込むことはできませんでした。
これで無資格者の竹内行夫裁判官は、国民の信任を受けたことになり、
今後10年間は最高裁の裁判官をつとめることができてしまうのです。
この制度は、有権者にまったく告知されないことだけでなく、
不信任には「×」をつけますが、何もつけなければすべて「信任」になってしまう
という投票システム自体に問題があるのかも知れません。
次の政府には、
たとえ、この様な形であっても、国民に信任を得たのだからと、
情報を知らされていない国民に責任を負わす様な、
こういう制度にも見直しのメスを入れてもらいたいものだと思うのは、私だけではないと思いますが・・・